緊急時の現場では、限られた時間のなかで状況を読み取り、次の一手を決める判断が欠かせません。手元の情報から「いまどの段階か」「どの対応に入るか」を決めるような、時間制約のある判断もその一つです。急ぎながらも正確さを落とさないためには、判断の材料がそろっていることと、そろった材料が現場の見え方のそばにあることが欠かせません。

現場で起きていたこと

私たちが伴走した現場では、地震など緊急時に、震度の情報を読み取りながら次の一手を決める判断が、手作業で進んでいました。画面や紙の情報を見比べ、人が状況を読み取る。正確さを優先するほど、手が止まりやすい進め方でもありました。所要は平均で約10分かかっていました。緊急時には、その遅れが次の動き出しにそのまま効いてきます。問題は判断そのものよりも、材料の集め方と、現場への届け方にありました。

見え方を活かし、データをつなぐ

一緒に考えたのは、すでに現場にある見え方をそのまま活用し、そこに信頼できる外部データをITでつなぐことでした。現場には、様式の整ったホワイトボードで状況を一覧にする習慣がありました。まずそれを電子ホワイトボードへ移し、見え方をデジタルにそろえたうえで、震度の情報を気象庁の公開データとして取り込み、連携させました。人が毎回ゼロから材料を集めるのではなく、必要な情報が自動で並ぶ状態を目指した、ということです。

電子ホワイトボードとデータの連携イメージ

図: 様式の整ったホワイトボードを電子化し、電子ホワイトボード + データで判断材料が並ぶイメージ

実装と導入で大事にしたこと

実装でも現場の事情を優先しました。ご予算と情報セキュリティポリシーで新規ツールの導入が難しく、災害時の可用性も求められたため、大規模な開発ではなく、すでに導入済みでスタンドアロンでも動く Excel と VBA で実装まで行いました。また、導入では使い慣れた手書きのツールがデジタル化されること、デジタル固有の故障があった際のご不安にも対処するよう、スタンドアロンでも手動でシステムが動くようにし、BCP の計画まで策定しました。大事にしたのは、お客様の事情や、実際にツールを利用される方に受け入れていただけるものであること、そして受け入れやすい進め方です。

結果

結果として、判断の所要は平均で約2秒になりました。人が毎回ゼロから材料を集めていた工程が、自動化されたことによるものです。効果は、判断が秒単位になったことだけではありません。浮いていた時間で次の活動の準備ができるようになり、その結果、時間のノルマをほとんどのチームが守れるようになりました。

高価なツールの導入だけが DX ではなく、お客様の事情に合わせて最適な提案・実装・導入を行うこと。それが技術を人に届けることだと、私たちは考えています。

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