私がいた中央省庁では、地方公共団体(自治体)が集めたデータをホームページで公開するミッションを負っていました。公開そのものは国側の仕事でも、データを集め・扱う現場は自治体側にあります。

現場で見えてきたこと

当該事業について自治体任せにするのではなく、国で統合するようにという外部有識者からの指摘もあり、調査に乗り出したところ、自治体側の現場では、システムの開発費用・改修費用が高止まりする傾向がありました。特定の社しか応札していない状況でもあり、ユーザー体験も、満足いくものではなかった、という声がありました。

本質はロックインからの脱却

統合できれば見え方はすっきりするかもしれません。ただ、私たちが一緒に考えたのは、統合は一つの手段に過ぎない、ということです。本質的な課題を見誤れば、費用の高止まりや応札の偏りといった課題が、顕在化する場所を地方から国に移すだけで、より深刻化しやすい。本質は、ロックイン構造からの脱却でした。

仕組みとしての伴走

そこで、国と自治体が協力してものづくりを進められるよう、それぞれの知見を持ち寄って活かせる状態をつくる支援に入りました。知識の共有についても、職員の善意に頼る既存の勉強会だけでは続きにくい、と捉えました。誰かが熱意を持っているあいだだけ動く形ではなく、ものづくりの仕組みとして確立する方向で、伴走しました。

進めた取り決めと整備

具体的には、次のような取り決めと整備を進めました。

  • 成果物の一切を、プロジェクトに参画する国・自治体間で共有する規約を制定した
  • そのための置き場所と、運用の規約を制定した
  • 要件定義に網羅すべき最低限の要件を、国側で制定した
  • インタフェース(IF)の標準化を、ドキュメントだけでなくコードのレベルで行った
  • 自治体と国で調達する範囲を、それぞれの制度に沿う形で適正化した

抱え込みや善意頼みではなく、自分たちが主導で直し・広げられ、知見が残る仕組みを、国と自治体のあいだに置く。それが、この現場で技術を人のそばに置く、ということだと私たちは考えています。

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